慰謝料の相場
離婚の慰謝料として、どのくらいの額を請求して支払ってもらえるものなのでしょうか。また、相場のようなものはあるのでしょうか。
慰謝料の金額は、夫婦の事情により、千差万別ですが、金額を決める大きな要因が二つあります。
ひとつは、当然ながら、慰謝料を請求するに至った行為の悪質性や被害の程度です。その行為が、長期にわたり、繰り返し行われたものであるかどうか、どのような経緯でその行為に至ったものであるのか、その行為を受けた側の被害、傷害、苦痛はどのくらいのものであったか等により、慰謝料の額も定まっていくことになります。
もうひとつは、経済的な事情によるものです。いくら相手方に責任があるケースでも、資力がなければ、現実に支払ってもらうことはできません。悪ければゼロ、良くても少額の支払で決着せざるを得ないことになります。逆に資力があり、社会的地位が高い相手方の場合は、類似の事例より高額の慰謝料となることがあります。
また、婚姻期間が長い方が、慰謝料はより高額になるとされています。ただ、一年当たりいくらという基準額があるわけではありません。
なお、双方に、慰謝料請求権が発生するような行為があったときは、その原因、経緯、態様、損害内容などを勘案して、相殺したうえで、より責任のある側が、差額を支払うことになります。
以上の事情を踏まえて両者が合意した、あるいは裁判で決着した金額が、慰謝料の額となりますが、多くの方が想像するより、多くは取れないのが実態です。ニュースなどで、芸能人や資産家が数千万円の慰謝料を払ったというケースが報道されますが、一般の方の場合は、ひとケタ違います。裁判例などをみても、200万円から500万円程度が相場となっていて、そのなかで、前記の事由を考慮して金額が決められているようです。
補足となりますが、慰謝料は精神的苦痛に対する賠償ですので、ケースによっては、これ以外に相手方に金銭を請求できることがあります。例えば、相手方があなたの所有物を損壊したときにはその修理費や買い直しに要する費用の全部または一部、相手方の行為により通院や入院を要する場合には、その交通費・医療費のほか休業補償も請求することができます。
なお、慰謝料は、社会的に妥当と見られる金額であれば(慰謝料という名目で不当に多額な財産譲渡をしたものでなければ)、受け取った側は、贈与税や所得税の対象とはなりませんので、申告など税金面の心配は不要です。ただし、不動産を慰謝料として授受した場合は、渡した側は売買と同様、譲渡所得に関する申告を検討する必要がありますし、受け取った側は不動産取得税がかかります。そのほか、どちらが負担しても構いませんが、変更登記に際しては、登録免許税がかかることになります。

