離婚慰謝料請求の基礎知識 押さえておきたいポイントは?

離婚する際に、慰謝料を支払う必要があるのか、または慰謝料を請求できるのか、気になっている方は多いでしょう。

すべての離婚に慰謝料が関係してくる、というわけではありません。双方に落ち度がなく、合意のうえで離婚する場合には、財産分与は行う必要はありますが、慰謝料を支払う必要はありません。

では、どういった場合に慰謝料が発生するのでしょうか? 今回は、離婚の慰謝料請求にまつわる基礎知識を簡単に解説していきます。

「自分の場合、慰謝料は発生するの?発生するとしたらいくらくらいが相場なの?計算方法は?」など気になっていることがある方は、ぜひ本記事で確認してみてください。


離婚の慰謝料にはどんなものがある?

離婚で慰謝料が発生するのは、一方が他方に、精神的、または肉体的苦痛を与えたときです。
具体的には下記のような場合、慰謝料が発生します。


自ら離婚原因を作った

不倫や、DV、モラルハラスメントなどを行い、離婚原因を作った場合、慰謝料を支払う必要があります。


離婚後に離婚原因(不貞行為等)を隠していたことが判明した

慰謝料を支払いたくないがために浮気していたことを隠し通す人もいます。
しかし、離婚が成立したあとであっても、時効をすぎていなければあとから慰謝料請求は可能です。

離婚の慰謝料を請求するために抑えておきたいポイント


次に、慰謝料を請求するために抑えておきたいポイントを5つ確認しておきましょう。


1 慰謝料の額のおおまかな計算方法

一番気になるのは、慰謝料の計算方法でしょう。実際に慰謝料は、精神的・肉体的苦痛度によって変わってきます。

たとえば、不貞行為が原因で離婚にいたった場合は、200万~300万が相場と言われます。
不倫の慰謝料相場は50万~300万というように幅を取られていることもあります。

しかし、50万~100万というのは、不倫が発覚しても離婚に至らなかった場合が多く、不倫が原因で離婚となった場合には、200万を上回ることもままあると考えて良いでしょう。

DVやモラルハラスメントの場合は、その悪質さによって開きはありますが、50万~300万円程度のことが多いようです。

また、生活費を全くわたさなかったり、夫婦、家族の生活を完全に放棄していた、というような場合、悪意の遺棄とされ、こちらも50万~300万円が慰謝料の相場となります。

また、 基本慰謝料(120万)+相手の年収の3パーセント×実質的婚姻年数×有責度×調整係数(不貞行為なら1DVなら0.7など)

という、慰謝料相場を計算する式も存在します。しかし、50年間婚姻していたからといって慰謝料が数千万になることはまずありません。

上記に挙げた相場から大きくはずれることは極めて稀(芸能人などで守秘を強く求めるため高額になる、などはありえる)である、と考えてよいでしょう。

2 浮気・不貞・DV・モラハラは証拠が重要

不倫やDV、モラハラで慰謝料請求する場合には、証拠がとても大切です。

モラハラ、DVなど、何らかの危害を加えられている場合、音声の録音、加害の状況を記録した日記、医師の診断書などが有力な証拠となります。

不倫での慰謝料請求を考える場合、肉体関係を証明する証拠を手に入れる必要があります。
具体的には、ラブホテルや旅館、浮気相手の自宅に二人で出入りしている写真などです。
キス、ハグしている写真、親密な内容のLINEなど、肉体関係を証明できない証拠のみでは弱い、と覚えておきましょう。

3 慰謝料を請求するのに、時効がある

そのほかの民事の賠償請求権と同じく、不倫行為の慰謝料請求にも時効があります。


不倫があったことを知った時点から3年が経過したとき、または不倫が始まったときから20年が経過したときのいずれか短い方が時効となります。


時効がくる前に慰謝料請求を行うことが必須です。


4 未払いに備えて、公正証書を作る

慰謝料を支払ってもらう場合、一括払いできずに分割になる可能性もあります。
その場合、途中で支払いが滞ってしまう可能性も考えられます。

そういった事態の保険にするためにも、慰謝料の支払いについてしっかり公正証書を作っておきましょう。
公正証書は法的効力のある書類なので、慰謝料の滞納が起こったときに、給与口座を差し押さえるなどの手段に出ることが可能です。


また、調停、裁判で慰謝料が決定した場合は、それぞれ調停調書、判決文が差し押さえの根拠となります。


5 住所を教えたくなくても、顔を合わせなくても請求できるのか?

調停、裁判共に、相手方と顔を合わせずに話を進めることは可能です。

その際は弁護士を雇う必要があります。
どのような弁護士に依頼していいかわからない、費用面で心配だという方は、法テラスを頼ってみることもできます。


まとめ

離婚慰謝料を請求するにあたって、気を付けておきたい基礎的なポイントを解説しました。


もちろんそのような状況に陥らないことが一番ですが、相手方の不倫が発覚したとき、泣き寝入りする必要もありません。
困ったときの一助になれば幸いです。


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